個人示談はしてはいけない

交通事故や交通事故治療において、個人同士で示談を行うことには多くのリスクと問題点があります。以下にその理由を詳しく説明します。


1. 法的効力が不十分

個人間での示談書には、公的な法的効力が保証されていない場合があります。

  • 内容の不備:専門的な知識が不足しているため、示談内容が適切でない場合があります。たとえば、損害賠償の範囲が不明確だったり、取り決めが曖昧だったりすることがあります。
  • 無効のリスク:示談書の形式や内容が法律に沿っていない場合、後で無効とされる可能性があります。

2. 保険適用の困難

  • 保険会社とのトラブル:示談後に保険会社がその内容を認めず、保険金が適用されないことがあります。保険会社は、事故状況や責任割合を公式な記録に基づいて判断しますが、個人示談ではこれが曖昧になる可能性があります。
  • 被害者補償の不足:加害者が個人間の示談で支払いを約束しても、実際に支払いが滞るリスクがあります。保険適用が難しい場合、被害者が治療費や修理費を自己負担する可能性があります。

3. 過失割合の不明確さ

  • 事故状況の認識の違い:個人間での話し合いでは、事故の責任割合が正確に把握されないことがあります。警察や保険会社の介入がない場合、双方の認識に食い違いが生じやすいです。
  • 後の紛争のリスク:加害者または被害者が後から示談内容に不満を持ち、紛争が発生する可能性があります。

4. 治療や後遺症への補償不足

  • 後遺症のリスク:交通事故のケガは、後から症状が悪化するケースがあります。個人示談では、後遺障害が発生した場合の補償について取り決めていないことが多く、被害者が十分な補償を受けられない可能性があります。
  • 医療費の不足補填:示談時に想定していなかった治療費やリハビリ費用が発生した場合、追加請求が難しい場合があります。

5. 証拠不十分による問題

  • 事故状況の記録がない:個人間の示談では、警察を介さないことが多いため、事故の記録(実況見分調書や交通事故証明書)が残りません。これにより、後で責任や損害賠償の争いになった場合に証拠が不足します。
  • 保険会社や裁判所での信頼性低下:警察や第三者を通さず示談を行った場合、後にその内容が公的に認められない可能性があります。

6. 加害者側の責任逃れのリスク

  • 不誠実な対応:加害者が示談後に支払いを拒否したり、示談内容を否定する可能性があります。個人間での取り決めでは、法的な拘束力が弱いため、被害者が不利益を被ることがあります。
  • 被害者の弱い立場:被害者が感情的な負担から不利な条件を受け入れてしまうケースも少なくありません。

個人示談を避けるための対策

  1. 警察への通報
    事故が発生したら必ず警察を呼び、事故状況を記録してもらいます。これにより、後のトラブルを防ぐための基礎が作られます。

  2. 保険会社の介入
    保険会社を通じて交渉を行うことで、適切な補償や対応が期待できます。

  3. 弁護士への相談
    示談内容や補償範囲について専門的なアドバイスを受けることで、不利益を回避できます。


まとめ

交通事故や治療に関する個人間の示談は、法的効力の欠如や補償不足、証拠不十分など多くのリスクを伴います。警察や保険会社、専門家を介入させることで、公平で適切な解決を図ることが重要です。