自賠責保険における仮渡金制度について
自賠責保険における仮渡金制度について
交通事故の被害者が適切な治療を受けるための経済的支援として、自賠責保険には「仮渡金(かりわたしきん)」制度が設けられています。この制度は、被害者が速やかに治療を受けられるよう、損害賠償の本請求を行う前に一定額の支払いを受けることができる仕組みです。
仮渡金制度の目的
仮渡金制度は、被害者が交通事故によって発生した治療費や生活費などの経済的負担を軽減し、迅速な救済を図ることを目的としています。通常、自賠責保険の本請求は審査に時間がかかる場合がありますが、仮渡金を利用することで、初期費用を速やかに受け取ることが可能となります。
仮渡金の支給対象と金額
仮渡金制度では、事故の被害状況に応じて、以下のように一定額が支給されます。
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傷害による支給額
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入院・通院の必要がある場合:
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5日以上の治療を要する場合:40万円
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11日以上の治療を要する場合:20万円
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1日以上の治療を要する場合:5万円
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死亡による支給額
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事故により死亡した場合:290万円
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後遺障害による支給額
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重度の後遺障害(第1級~第3級):290万円
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中程度の後遺障害(第4級~第8級):150万円
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軽度の後遺障害(第9級~第14級):75万円
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仮渡金の申請手続き
仮渡金を受け取るためには、以下の手続きが必要です。
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必要書類の準備
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交通事故証明書
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診断書(医師の証明が必要)
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仮渡金請求書
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保険会社への請求
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加害者が加入している自賠責保険会社に必要書類を提出し、審査を受けます。
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支払いの受領
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書類審査が完了し、適用が認められた場合、通常1週間から10日程度で仮渡金が支払われます。
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注意点
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仮渡金は最終的な損害賠償額から差し引かれるため、過剰な請求は控える必要があります。
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被害者自身が直接請求することが可能ですが、弁護士や行政書士に依頼することもできます。