自賠責保険は同乗者にも使える

自賠責保険の同乗者への適用について

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、交通事故の被害者救済を目的とした強制保険です。事故が発生した場合、運転者や加害者の過失の有無にかかわらず、被害者の身体的損害(死亡・傷害)に対して一定の補償が行われます。

同乗者への適用

自賠責保険は「被害者救済」を目的としているため、事故の際に車両に同乗していた人も「被害者」として補償の対象となります。ただし、以下のような条件に注意が必要です。

  1.  同乗者が第三者である場合:
    • 例えば、友人や家族が同乗していた場合、自賠責保険の適用対象となります。
    • 治療費、休業補償、慰謝料などが支払われます(上限120万円)。
  2.  運転者自身や加害者は対象外:
    • 自賠責保険は加害者(運転者)自身のケガには適用されません。ただし、搭乗者傷害保険や任意保険で補償を受けることができます。
  3.  無償の同乗(好意同乗)の場合:
    • 無償で乗せた場合でも、同乗者は被害者として扱われ、自賠責保険の適用対象となります。
    • ただし、同乗者の過失(シートベルト未着用など)があった場合、減額される可能性があります。

共同不法行為について

共同不法行為とは、複数の加害者が共同して不法行為を行い、被害者に損害を与えた場合に、各加害者が連帯して責任を負うという民法上の概念です(民法第719条)。

主なポイント

  1. 共同不法行為の成立要件:
    • 複数の者が共同して違法な行為を行った場合。
    • それぞれの行為が因果関係を持ち、被害者に損害を与えた場合。
    • 明確な共謀がなくても、結果的に複数人が加害者と認められる場合も該当。
  2. 責任の範囲:
    • 共同不法行為者は、被害者に対して「連帯責任」を負う。
    • これは、被害者がどの加害者に対しても全額の賠償請求ができることを意味する(内部での負担割合は別途調整)。
  3. 交通事故における例:
    • 追突事故で後続車が次々に衝突した場合、各車両の運転者が共同不法行為責任を問われる可能性がある。
    • 事故の原因が複数の車両の過失による場合、それぞれの運転者に責任が生じる。
  4. 過失割合と負担:
    • 共同不法行為者同士の内部関係では、過失割合に応じた負担割合が決まる。
    • 被害者には全額賠償責任を負うが、内部で過失割合に基づき負担を分配する。

まとめ:
共同不法行為に該当すると、被害者は全額賠償を請求でき、加害者同士の内部調整が必要となります。交通事故の場合、複数の加害者の責任が認められるケースがあるため注意が必要です。